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番組HPより)
ローティは、マイノリティの権利獲得の裏で相対的な権利剥奪感を抱く白人労働者が「自分たちこそ弱者」と叫び強力なリーダーを求める可能性を導き「トランプ現象」を予言。
「トランプ現象」とは、マイノリティを救うはずの「アイデンティティの政治」が逆用される現象といえる。こうした歪みを是正するため、ローティは、文学やルポルタージュを使って他者への共感能力を育て「われわれ」という意識を拡張し続けるという処方箋を提示する。第四回は、こうした問題に対して、哲学はどのような処方箋を用意できるのか、ローティが理想として掲げる「リベラルな社会」とはどのようなものなのかを探る。
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異なる他者どうしが共存し、対話を続けられる社会を追い求めたローティ。
どうしたら私たちは連帯が可能なのか、どうしたら残酷さを減らすことができるか、その解決のカギが、文学の力だと考えたそうです。
感情を動かしたり、他人の苦痛や残酷さに対してのシンパシー(共感)が何よりも大事で、どれだけ理論があっても感情がついてこなければ、そもそも理論が機能しないということです。
文学は、そうした共感を育み、「私たち」の幅を広げていく鍵になるということです。彼らも「われわれの一員」であると、「われわれ」の範囲を拡張せよと呼びかけ、そうすることでローティは連帯の可能性を見出そうとしていたということです。
このように文学を拠り所にしたことに、「言葉は社会や人間を変える力を持っている」というローティの一貫したものを感じました。