​NHK100分de名著 ローティ“偶然性・アイロニー・連帯”「(1)近代哲学を葬り去った男」

- 映画・テレビ鑑賞
番組HPより)
ローティは、西欧哲学の流れをふかんし、その根本動機が「究極の真理を見出し、それによってすべての学問や知を基礎づけ直すこと」にあると分析。そのあり方を鋭く批判する

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アメリカの哲学者リチャード・ローティの著書「偶然性・アイロニー・連帯」を読み解いた回の第1回です。

ローティは、永遠普遍の真理を追い求める伝統哲学を全否定し、これまでの哲学は葬り去るべきと唱えたそうです。そう唱えたことで批判を浴び、哲学界に居場所がなくなった異端の人物でした。

では「哲学は何をするのか?」という疑問に対して答えを自ら示したのが、著書「偶然性・アイロニー・連帯」で、「会話を守る」ことが大事だということです。

会話を守るというのは、「これが絶対に正しいんだ」と一方的に結論づけることで相手に何もしゃべらせずに会話を断ち切ってしまうのではなくて、多様な価値観を持つ人々がいる中で、様々な言葉が一緒に共存している状況を守ろうとするものだということです。

では、私たちの多様な言葉を守るためにどうしたらよいか、この考えを軸に「偶然性・アイロニー・連帯」は展開していきます。

まず、「偶然性」について取り上げました。
その時に流通している言葉が変われば社会も変わっていくため、「言葉には人間や社会を変える力を持っている」ということです。

このため、「私たちや、今の社会のあり方は偶然の産物」という認識を持つべきで、だから、これが一番正しいというものではなく、変わっていくことがあり得ると説いていて、柔軟性があり新しい広がりを感じさせる考えだと思われました。
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