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番組HPより)
「公私混同はよくない」とされる常識に反して、社会のあらゆる領域で公私は混同され続ける。オフレコ発言がたちまちニュースを騒がすなど公私が入り混じるのが現代社会だ。
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公私混同について、ローティの考えを読み解いた回です。
ローティが公私混同について考えるようになったのには、彼の生い立ちに関係があるそうです。
ローティは、幼い頃から社会正義にあふれる大人たちに囲まれて育ち、彼らの影響を受けて社会正義に目覚めた一方で、自生するランを探して花を愛でる私的な関心ごとがあったそうです。
公共的な社会正義という使命感と、私的な趣味が自分の中に混在している、この矛盾をどう克服すればよいのか?
ローティ少年は、この問いを胸に哲学を志し、歩めば歩むほど、むしろ別々のままでいいんじゃないか?むしろ、別々のままでどうやって社会や個人の中で同居し得るのかを考えるべきだというふうに考え方が変わっていったということです。
公共的なものと私的なものは区別すべきというのがローティの考えで、「バザール(公共空間)とクラブ(私的空間)」というモデルを示して、公と私、建て前と本音のあり方を論じていました。
最後に解説者の方が、「今の私たちの社会は、様々なプライベートな場所とパブリックな場所がごっちゃになっていて、安心してしゃべれる場所が無くなりつつある」と話されて、続けて言われたように、そうした公私が入り混じった今の社会の問題を解くヒントが、まさにローティの中にありそうだと感じました。