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番組HPより)
史上最年少19歳で四冠達成。名実ともに将棋界のトップになった藤井聡太竜王。この半年、最大のライバル・豊島将之九段と互いの3つのタイトルをかけ、異例の“19番勝負”に挑んだ。200時間を超える極限の闘いの舞台裏で何が起きていたのか。天才棋士たちの知られざる盤上の物語。
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藤井聡太さんと豊島将之さんが戦ったタイトル戦の舞台裏に迫った回です。
番組では、竜王戦を中心に2人の戦いに迫り、特に藤井さんがタイトルへの王手がかかった第4局は、ある棋士の方は「第4局は今の時代のひとつの傑作」と言っていましたが、印象に残る勝負でした。
第4局で、藤井さんは8時間ある持ち時間を徐々に消費し、終盤の時点での2人の持ち時間は、豊島さんが残り約2時間30分に対し、藤井さんはわずか9分でした。
そこで豊島さんは、すぐに自分の手を指して相手に考える時間を与えずに押し切る「時間攻め」の戦法をとることもできましたが、終盤のある一手で、周囲の予想に反して、「自分なりに納得いくまで考えたかった」と99分の長考を選択されました。
藤井さんのほうもこの時、「この1年でいちばん集中して考えられた瞬間だった」と言って、対局や勝敗を抜きにして、純粋にその局面に向き合い楽しんで将棋を指す2人の姿があって感動的でした。
結局、この一手が勝負の分かれ目となって豊島さんが負けを認めて投了することになりますが、その投了の瞬間も、詰みまで10手以上残しての投了で、そこに、悪あがきせず、藤井さんはミスしないだろうと信頼してここでタイトルを失うことを決心するという、豊島さんの将棋に対する姿勢や美学のようなものが感じられて、印象的な場面でした。