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番組HPより)
「人生最後のノンフィクションになっても納得がいく」。作家・沢木耕太郎さんがそこまで語る最新作『天路の旅人』。“自由を広げて生きる”尊さとは。
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作家・沢木耕太郎さん(75歳)にインタビューした回です。
この冬、25年の歳月を費やして長編『天路の旅人』を書きあげた沢木さん。この作品が最後のノンフィクションになってもいいと語るほど、この作品の主人公・西川一三(かずみ)の生き方に強くひかれたそうです。
西川一三(1918-2008)は、第二次大戦末期、日本陸軍の「スパイ」として中国大陸の内蒙古からチベット方面へ潜入。終戦後も、ヒマラヤを越え、インドに至るなど、8年にわたって果てしない旅を続けたそうです。ところが、帰国すると一転、淡々とした日々を過ごしたということです。
壮絶な旅を終えて帰国後、盛岡で小さな化粧品店の店主として生きた西川さん。元日以外の364日 毎日決まった時間に店に出て 夜は馴染みの店で日本酒を2合飲んで帰宅する。そんな淡々とした日々をひたすらに繰り返したということです。
沢木さんの父も、溶接工として働き、毎日一合の酒と一冊の本さえあれば満足という人だったそうです。
西川さんも父も、それだけで十分満足で、「単純なことの繰り返し。その中で自分が充足している。その繰り返しというのは尊いもののような気がする。」と話されて、今ある生活をただ淡々と生きる境地のようなものを感じました。