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番組HPより)
世界が注目する作家、村上春樹。その名を世界に知らしめた作品が著者初の恋愛小説『ノルウェイの森』だ。その誕生の秘密と魅力を、編集者、友人たち、映画監督が明かす。
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村上春樹さんのベストセラー小説「ノルウェイの森」(1987年刊行)。その誕生の秘密と魅力に迫った回です。
村上さんを30年以上担当した編集者、学生時代の友人たち、この小説を映像化した映画監督、の3つの視点から作品に迫りました。
ノルウェイの森は、村上さん初の恋愛小説で、当時、担当編集者が、今までと少し違うテイストのものを書いてみては?と提案したことがきっかけだったそうです。
小説の舞台は1968年の学生運動に揺れる大学キャンパスで、同じ年に村上さん自身が入学した早稲田大学がモデルになっているということで、大学時代の友人たちにお話をうかがいましたが、学生運動が激化していた頃で、混沌とした時代だったということです。
ノルウェイの森は世界中で翻訳され、世界の人々を魅了し、パリ在住のベトナム人映画監督トラン・アン・ユンさんも、とりこになった1人だったそうです。
トランさんは、ぜひ映画にしたいと考えていましたが、村上さんは「ノルウェイの森は、自分にとって特別な作品」ということで、誰にも映画化を許可しなかったそうです。
しかしその後、映画会社を通じてトランさんは村上さんと会うことができ、村上さんから「今すぐ許諾はしないが、脚本を見て許諾をするかもしれない」という話があったことで可能性が生まれ、トランさんは脚本を書きあげると、村上さんと何度もやり取りしながら脚本を練り上げていき、ついに村上さんから許可が出て、映画化に至ったということです。映画化までじつに16年かかったそうで、2人の作品に対する強い思いを感じました。