「心を動かす一振り」に魅せられ 外国人初の刀鍛冶、ジョハン・ロイトヴィラーさん 産経新聞
18年前、地元で開かれた東洋の異国に伝わる刀剣の展示会を訪れたスイス人の青年は一目で魅入られた。
「日本刀の美しさ、鉄を自由自在に操る職人の技術に心を奪われました」
そう振り返るのは、スイス南部バレー州出身の刀鍛冶、ジョハン・ロイトヴィラーさん(35)。
当時、鉄工所で働いていたジョハンさん。
「いつか自分もあんなに美しい刀を作ってみたい」。展示会で目にして以来、日本刀のことが頭から離れなくなっていたといいます。まもなく居合道と剣道を始め、やがて独学で日本語を勉強するようになったそうです。
23歳の時、旅行で念願の初来日を果たし、「長い歴史や伝統を持つ日本の文化に衝撃を受けました。ここが自分の居場所なんだと思いました」
しかし、外国人が刀鍛冶になった前例はなく、憧れるのが精いっぱい。転機は、母国での兵役を終え日本への移住を決意した令和元年。全日本刀匠会が開いた入門希望者の研修会で刀匠の久保善博さんと出会い、弟子入りが決まったそうです。
刀鍛冶になるには、刀匠の下で5年以上修業し、文化庁の研修会を修了しなければならないといい、ジョハンさんは2つの条件を満たし、外国人初の刀鍛冶となったそうです。
今は、広島県庄原市の国営公園内にある工房で、刀鍛冶として1作目となる日本刀の制作に全力を注いでいるそうです。