20年かけ即興的 俺の建築 不思議なビル「蟻鱒鳶ル」完成
産経新聞
東京都港区の聖坂に建っている1棟のビル。鉄筋コンクリート製なのに曲がってうねってとんがって、壁も天井も不思議な文様に埋め尽くされています。
その名も「蟻鱒鳶(アリマストンビ)ル」。
もはやアート作品と呼びたくなるこの建物は、ひとりの建築家が着工20年目にして自分の手でつくりあげた「セルフビルド建築」だそうです。
「俺こんなのつくってたの、という気持ち。予想をはるかに超えたものが出てきてびっくりしました」。建築家、岡啓輔さん(59)は10月下旬、シートや足場が取り外されて姿を現した蟻鱒鳶ルを見上げ、満面の笑みを浮かべたといいます。
平成17年に建設スタート。地上4階地下1階で、敷地は40平方メートルという狭小住宅。ダンサーでもある岡さんは「セルフビルドで踊れ!」と、作業に即興性を取り入れたそうです。
コンクリートは水分量を減らしたため、専門家から「200年もつ」とお墨付きをえたほどの頑丈さを誇るといいます。丁寧な仕事ぶりもあって表面は不思議な光沢をたたえており、造形とあいまって神秘性すら漂わせています。