旅立つ子や海底で眠る母 屋久島のウミガメ10年の記録
朝日新聞
鹿児島県・屋久島の水中写真家・高久至(たかくいたる)さん(38)は、絶滅危惧種のアカウミガメなどを撮り続けているそうです。
産卵から孵化(ふか)、そして旅立ち――。
世界有数の産卵地として知られる同島の永田浜で、約10年にわたって撮影しているといい、今月、写真絵本「おかえり、ウミガメ」を出版したそうです。
アカウミガメを撮影するうちに不安も出てきたといいます。
防潮堤の建設や埋め立てで砂浜がやせ細り、産卵場所を探せない母ガメや、台風でえぐり出された卵などを目にするようになったからだといいます。
巣立った子ガメが米国やメキシコの西海岸で成長し、島に帰って来るのは20年ほど後だそうです。「卵を託す砂浜がやせたり、漁の網で誤って捕獲されたりして、安心して帰郷できる環境が失われつつある」と危惧しています。今回の作品を通して、人間の営みと自然環境が密接につながっていることを伝えたいといいます。