急坂に刻まれた激動の近代史 広島・呉「両城地区」
産経ニュース
山の斜面に民家がひな壇のように並ぶ「階段住宅」で知られる広島県呉市の両城(りょうじょう)地区。
瀬戸内海に面する呉は、背後を山に囲まれ、正面を江田島が守る国防上の良港だといいます。
もともとは「呉浦(くれうら)」と呼ばれる半農半漁の小さな集落でしたが、明治22年の呉海軍鎮守府の開庁が転換期となりました。
周りに造船所や兵器工場が建設され日清、日露戦争の影響で拡張の一途をたどると、全国から呉に人が集まったそうです。急激な人口増を迎えましたが平野部は軍用地に充てられたため、住宅は郊外や高台に造られることになったといいます。
なかでも両城地区は45度にもなる急傾斜に住宅が立ち並ぶ独特の景観になったそうです。
しかし、昭和50年をピークに呉市の人口は減少傾向に。今も海軍の士官が多く居住していた和洋折衷のモダンな家が残りますが、急傾斜地では建て替えが難しく、空き家が増えているといいます。