森の循環阻む「神の使い」 探る共生の道 奈良「春日山原生林」
産経ニュース
奈良市中心部の東、春日大社が背負う「春日山原始林」を紹介しています。
平安時代に狩猟と伐採を禁じる神域とされ、1100年以上にわたり人の手で保護されてきたそうです。シイやカシを中心とした照葉樹林の中に、樹齢数百年のスギやモミの巨樹が多く残る。森の中は昼間でも暗く、ひんやりとしているといいます。
平成10(1998)年には、都市部に隣接しながらも原生的な植生が維持されていることが評価され、「古都奈良の文化財」の一つとして世界文化遺産に登録されました。
しかし、森では今、増えすぎた鹿による食害が深刻な問題になっているそうです。
奈良では鹿は「神の使い」とされる特別な存在。天然記念物で、重要な観光資源でもあります。山中に柵を設け、行動範囲を制限するなどしていますが効果は限定的だといいます。
世界遺産登録から今年で25年。豊かな森林生態系を次代へ継承するため、人の手で〝手つかず〟の自然を守る取り組みが続けられています。